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 愛する人よ。黒田トドロケ倫弘です。
 今、Zeppの楽屋です。空は怪しげ、海に浮かぶこの辺はメッチャ寒いね。ここの楽屋は4年振り。できたてホヤホヤ日本最大のライブハウスに立ったのはIceman、1999の年。そのライブは実は僕にとってとても思い出深いライブだ。今回のツアーファイナルをここでやろうと決めたのは多分にそこが個人的に大切な場所だったという理由がある。
 僕は、よく自分の音楽の振り幅を徹底して表現したいという言い方をする。一方に振り切ることで生まれる鋭角なものと、もう一方へ振り戻そうとする時に生まれるより大きなエネルギーが僕の身体を熱くする。その振り切ろうとすることを身体が気づいたライブだった。まだまだアンバランスだったその時の自分にきっちりかたをつけようとする、という言い方が正しいのかどうかは置いておいて、僕はそうやって、かつての自分、昨日の自分に勝って行こうとする所があるんだ。そして勝つこと自体より、ぶつかって行く勢いそのものが僕の身体を満足させてくれる。
 Zepp Tokyoにはその後ウツ(宇都宮隆)さんのライブと岡村(靖幸)ちゃんのライブを見に来た。ウツさんのライブをみたのはまだ「スリルバカンス」を出す前で、関係者席から帰ろうとした時に、半年ぶりにライターのテッカン(藤井徹貫)さんと偶然の再会。僕はうれしくでテッカンさんと抱擁を交わした。すごくめずらしいことなんだ。うれしいや楽しいをあまりうまく表現できない不器用な生活者の僕は(歌で感情表現することの方が楽だったから歌い始めたぐらいだから)、思いあまって人に抱きついたりしない。でも、あの頃の僕は外とほとんど触れあわず独りでソロの鉾先を考えていて、きっととても人恋しかったんだと思う。「どうしてるの?」と聴かれる前に、曲を作るようになったんだ、という話しをした。
 そんなこんなで、いくつかの想いも抱いて今日僕はこのステージに立つんだ!とこのライブを決めたけど、今は一点の曇りもなく、僕らがツアーでつくりあげた、そしてこの3年でたどりついた「Future In Blue」のステージをやるのみ。ここは1つの萌える頂きなんだ。
 そう、「この間テレビで大江健三郎が“Think Write”と“Think Talk”の話しをしてて」と僕の友人が話していて、僕は“Think Sing”なのか、“Sing Write”なのか、それとも“Sing Talk”なのかな、と言葉遊びを始め、“Sing Live” “Live Sing”、「歌うように生き、生きるように歌おうぞ」とホームページに書いた。
 轟けぼくらの歌。

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