黒田倫弘「WEAVER STANCE」
4月26日アルバム「WEAVER STANCE」リリース!


音楽ライター・藤井徹貫さんより


今日、やっと落ち着いて聴きました。

『WEAVER STANCE』。幅広い10曲をまとめるにも、今の黒田君の佇まいを表すにも、最高のネーミングだと、アルバムを聴いて改めて思いました。

「太陽の日々」。いい曲だなー。本当にいい。眼がギラッと光っている歌声もいいし。ジャケットの内ポケットとかさ、デニムのお尻のポケットとかに隠しているクレイジーが聴こえてくるのもいい。もちろん歌詞もいい。素晴らしい。けど、歌詞から伝わる以外の、そういうギラッとか、クレイジーな匂いとか、そういうものが歌には大事なような気がした。

「I'm fine」。不思議な1曲でした。最初は、歌というより語りみたいな印象で。独り言を聴いているかんじというか…。ところが、歌が進むと、徐々に、いつのまにか、メロディという道に沿って、歌詞の世界に入っていた。みたいな印象。「ねじこむ」歌と「ひきこむ」歌があるなら、これ完全に後者ね。昨今の、冒頭10秒で決着をつけるJ-POP定型とは異なる歌だよね。1曲聴いてわかる歌。1曲聴かせる歌だし。ボーカリストとしてもそうだけど、ソングライターとしても、試行錯誤してきた黒田君の、何か大きな実りだと思います。

「彗星の如く」。言葉尻がスパッと、心地良く、潔く斬れる、クロリンスタイルのVo。スカッとしました。

「それでもイッツオーライ!」。奥田民生風?あはは。そんな気ないか?御免ね。この鷹揚な(ちょっと毒気のある呑気な)1曲が、ある意味ピリピリした「REASON MONSTER」やある意味緊張感がある「ラブレター」とのコントラストで、妙に浮き上がるよね。逆も言えるし。これがあることで、「REASON MONSTER」や「ラブレター」が浮き上がる。

「Thank you Baby」。このボーカルはさすが黒田君と思いました。キーやメロとのかかわりもあるだろうけど、声を重く鳴らさず、さわやかさのツマミを上げめにして。「ひきこむ」歌側に着地させているというのかなー。聴きました。

「ラブレター」。いい曲ですねー。エクセレント!!! 格好いい。馬場君も素晴らしい仕事しているし。僕の好きなクロリンが詰まっている1曲。♪この手を伸ばし…。ライブの映像が目に浮かびました。その意識はなかったかもしれないけど、こういう形でライブと連動するのも大事かも。

自分の中で、よくやる事だけど…。
ちょっと強引だとしても、縦軸の上に「ねじこむ」。下に「ひきこむ」を設定。横軸の右端に「キラキラ」。左端が「ダーク」。
縦軸と横軸が交わるところが「0」とします。
勝手に、そんな座標を作ってみました。
各曲を置くポイントも人それぞれだと思うけど、ぼくなりにアルバム収録曲それぞれを、その座標に配してみた。

そうしたら、印象よりも、キラキラ側の曲が多かったです。
ま、縦軸と横軸の設定の正誤があるにしても…。黒田君なりの明るいアルバムなのかもしれない、と視覚的に認知しました。そこで、はたと、振り返ると、アルバム資料の文章に「キラキラと華やかにポップにそして頑固に」とあるじゃないですか。ぼくなりの検証の結果、そのとおりでした(笑)。