黒田倫弘ニューアルバム完成! 13作目は「WEAVER STANCE」(ウィーバースタンス)と名付けられた。
「WEAVER STANCE」とは、今は廃れた上級者向け拳銃の持ち方(ジャックバウアーのアレ)。黒田はそのフォルムのかっこよさとスキルフルな拘り、そして「今は流行らないけど」というところにグッと来てメモした。
全体像はあまり考えずに感覚にまかせて、今日の唄う自分を、今唄いたいことを1枚にできればいいと作ったというが、作品を通して伝わるのはエール。届いて心を震わせる愛溢れる1枚なのだ。
1. CHANGE THE MIND
「レコードに針を落として、最初の一音を待つ」「CDをスロットに入れてキュルキュルというリーディング音の先に鳴る最初の一音を待つ」瞬間は聴く側の喜びであるとともに、作る側の喜びでもある。黒田がアルバムという作品形態を大切にしたいアーティストだということが分かる、ニヤリとしてしまうイントロ。そこから、一気に曲の世界に引き込まれるパワフルなデジロックダンスチューン。
(作詞作曲:黒田倫弘・編曲:江草一平)
2. 太陽の日々〜album version〜
2016年夏にリリースされたリーディングシングル曲に、新たなギターダビングを得て再生。「太陽の日々〜album version〜」には、cuneのギタリスト生熊耕治のこれでもかというぐらい聴かせるクレイジーギターがフィーチャリングされている。これこそが「太陽の日々」の真なる姿ではないかと思ってしまうぐらいの共生感があるのだ。生熊とは、「黒生」名義のツーマンプロジェクトで一昨年より急接近。二人の楽曲作品(現在ライブのみで発表)もあり、音源発表が強く期待されている。
黒田倫弘王道のファンクロック。情熱の生まれた場所へ視線を注ぎ、未来へ繋がる人間の力を歌い上げるような力強い作品で、ソロ初期に訪ねたバリ島への再訪でのMV撮影を念頭に2016年1月に制作されたという異例の経歴をもつ曲でもある。
(作詞作曲:黒田倫弘・編曲:馬場一嘉) MVあり
3. I'm fine
本作の影のメイン曲はこの曲だろう。「軽やかに生きて行こう 遠回りしよう 手放した夢だとか 果たせぬままの 約束に偶然 また逢えるかもね 」豊かで柔らかな黒田の声が暖かく響く。焦るなゆっくり、と。がんばることに、生きることに必死な日も、硬すぎる結び目も解けるよと、話しかけてくれる優しい唄だ。
(作詞作曲:黒田倫弘・編曲:馬場一嘉)
4. 白馬に乗れない王子様
この「王子様」は黒田自身のことなので、まずはクスリと笑ってから聴く事にしよう。叶わぬ恋にも、交差する想いはあり、恋のかけひきにも真実がある。白と黒にわけることができない大切な気持ちと、形にならなくても輝き続ける大切な時間を、ポップなスローダンスビートに乗せて。
(作詞作曲:黒田倫弘・編曲:馬場一嘉)
5. REASON MONSTER
初聞きで誰もが一緒に踊ってしまう、ポップなロックンロールチューン。黒田倫弘ど真ん中曲。アルバムレコーディング最終期に、一気に作った曲で、黒田らしさ満載。
「誰かの真似だってOK 現実逃避は無敵だ 手強いなREASON MONSTER 理屈ばかり」
理屈オバケは、世間の良心か、いい訳ばかりの自分なのか。ベトナムで撮影したMVでは、ぶっとばして軽やかに舞う黒田を堪能できる。
(作詞作曲:黒田倫弘・編曲:馬場一嘉)
6. 彗星の如く
アルバムの表の主役はこの曲だろう。ポップなメロディーとエッジの立ったデジロックサウンド、バンドでのステージパフォーマンスに期待が募る。ずばり、ザ・かっこいい曲が「彗星の如く」だ。凝ったサウンドに分かりやすいメロディー。美しい歌詞と卓越したボーカリング。黒田・馬場コンビの必聴曲。
この曲は2016年大晦日に行われたカウントダウンイベントで初演。そこに間に合わせるために急ピッチで制作され、ミックス前の音源をネットで公開。さらには発売前にアコースティックアレンジでも演奏された。近年、バンドライブと並行してアコースティックライブも精力的に行っている黒田だが、どんな演奏スタイルでも自身の楽曲の中核を伝えることができるという自信が感じられる。
(作詞作曲:黒田倫弘・編曲:馬場一嘉)
7. それでもイッツオーライ!
アルバムに入れるつもりはなかったんだけど、制作チームに大絶賛され収録することとなったこの曲は、黒田曰く、大好きなユニコーンと奥田民生さんへのリスペクトを込めて出来上がった楽曲。そして実はこれこそ素顔の黒田倫弘だ。その曲はこう始まる。
「電車に揺られて 仕事に行こう このままずっと 着かなきゃいいのに
買い物したいし 昼寝もしたいし マンガも読みたい
天気が良いから あくびが止まらない やる気がないのだ それでもイッツオーライ!」
(作詞作曲編曲:黒田倫弘)
8. SUPER FANTASTIC
2016年秋、レコーディングに向けて作曲作業が進められる中、早い段階で編曲者CH@PPYに制作が打診され、最終曲として唄入れされた曲がこの「SUPER FANTASTIC」だ。自由自在に弾むスーパーボールのような1曲、とは前作収録のCH@PPY曲「Very Good Time!」に贈られた言葉だが、本作もまさに!
(作詞作曲:黒田倫弘・編曲:CH@PPY)
9. Thank you Baby〜album mix〜
「太陽の日々」とともに既発のライトバラード。極上のポップス。
大切な人へ、お世話になった人へ、愛する人へ届けたい感謝の思いを唄う曲。黒田が自身のファンへと向けて書いた極私的な歌詞であることがファンには伝わるカラクリで歌詞に織り込まれている。
(作詞作曲:黒田倫弘・編曲:馬場一嘉) MVあり
10. ラブレター
黒田が自分自身に向けて唄ったロッカバラード。極私的な曲にアルバムのフィナーレを飾らせ、MVを撮り、大切な1曲としてリリースする。万人に訴えるシングル曲にはなっていない、しかしながら圧倒的な説得力とボーカル力で1曲をなす。これは今作で13作目のアルバムを発表するソロアーティストのやり方なのかもしれない。
(作詞作曲:黒田倫弘・編曲:馬場一嘉) MVあり
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