黒田倫弘「Starting Over」



黒田倫弘12作目のアルバム「Starting Over」は聴く人の心に触れ震わせる作品だ。ロック・フォーク・ファンクと黒田らしいクロスジャンルアルバムを貫いているのはポップであることへのこだわりと音楽の力だ。強く生き進むのが難しいこの時代を共に生きる人へ唄われたパワフルなアルバム。表題曲ほか全3曲のMVも必見!!


1. Starting Over
一気に曲の世界へと引き込む卓越したイントロから紡ぎ出されたのは、生きる姿を旅人に重ね、抑制するボーカルが見事なバラード。曲のタイトルが後にアルバムタイトルになった。MVあり。


2. Fly High
これぞ黒田のロックといった感のあるパワーチューン。洗練された作品力に圧倒される。


3. 迷い星
その場で唄われているかのような不思議なライブ感のあるアコースティックバラード。ボーカル表現の多彩さもさることながら、作詞家としての黒田倫弘の新しい平野をかんじさせる。MVあり。


4. Very Good Time!
盟友CH@PPYをアレンジャーに、自由自在に弾むスーパーボールのような1曲。こういう曲がさらっと入ってるあたりが黒田倫弘の力か。
5. 6月のパレット
アレンジャーとしての馬場一嘉のセンスと底力を感じさせるポップナンバー。歌詞に登場する風景は首都高芝浦のあたりだとか。上京して東京でチャレンジする黒田の心模様か。おしゃれなだけではない、ヒューマンな楽曲。
6. いもル〜プ
黒田初の自主編曲チューン。気分転換に芋焼酎黒霧島をロックでやりながら作りはじめたもので、アルバムに入れる予定ではなかったとのこと。ハノイの旧市街で撮影されたMVがとても面白い。
7. STAY GOLD
ライブでの切れたパフォーマンスが目に浮かぶ、黒田倫弘ハンサム系デジロック。編曲は黒田作品初参加の新進気鋭のサウンドメーカー関野元規。
8. 想
黒田倫弘曲には「エロソング」というジャンルが存在するそうで、ならば今作のエロはこの曲であろう。あるいは、男女の恋物語に限られない、あらゆる他者との密約を、恋になぞらえて描かれたものか。アレンジもすばらしい。

9. TREASURE LIFE
ライブできくと元気になれる曲。黒田が唄い続ける理由のひとつ、それも大きな理由は、聴く人を笑顔にすることだ。その使命を担うパワーポップがこの曲だろう。


10. ピーターパンにはなれなくたって
86(8分の6拍子)ロッカバラード。"この歌が「自分の証明」 "と唄う等身大の黒田倫弘。暑苦しく強い想いと押さえた導入部から叫びにすら聴こえるサビへ。唄い終わり、聴き終わった時に残るのは暖かさと笑顔。黒田倫弘は今秋ソロ15周年、翌年はデビュー20周年を迎える。